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室内楽とピアノ教育で広がる音楽活動

8月15日
読了時間: 7分

更新日:9月9日


これまでやってきた音楽活動は、ひとつの形にとどまりません。舞台で演奏すること、教室で生徒と向き合うこと、地域へ出向いて音を届けること。どれも別々に見えて、根にあるものは同じです。音楽を通して人とつながり、その人の時間に寄り添っていけたらと思っています。


室内楽を中心に演奏活動を続けながら、30年以上にわたり自身のピアノ教室で指導を行い、多くの生徒を育ててきた歩みがあります。近年はカリンバの指導と演奏にも活動を広げ、各施設へのアウトリーチや訪問コンサートにも取り組んでいます。


ピパポ ”Piano & Percussion DUO” で高齢者施設 訪問コンサート
ピパポ ”Piano & Percussion DUO” で高齢者施設 訪問コンサート



室内楽が育てる“対話する”音楽


器楽伴奏然り、アンサンブル演奏(以下、室内楽)は、演奏者同士が音を交わす音楽です。ピアノ独奏とは違い、相手の呼吸、音色、間の取り方を感じながら演奏します。自分の音を出すだけでは成り立ちません。聴き、受け取り、返すことが必要です。


この経験は、音楽家としての耳を深く育てます。


たとえば、ヴァイオリンやチェロの弦楽器、フルートやオーボエの管楽器、声楽との共演では、楽器ごとに音の立ち上がりや伸び方が異なります。ピアノは一度鍵盤を打つと音が減衰していく楽器です。一方で弦楽器や管楽器は、音を伸ばしながら表情を変えることができます。その違いを理解しながら音を重ねることで、演奏に立体感が生まれます。


室内楽の魅力は、それぞれの楽器の華やかな技巧だけではなく、小さな音の変化、わずかなテンポの揺れ、一瞬の沈黙にとても意味があります。演奏者同士が信頼し合い、同じ方向を見つめることで、聴く人の心に届く音楽となります。


室内楽は、音で会話をする芸術である。自分の音を磨くほど、相手の音もよく聴こえるようになるのだ。

と、誰かが言っていました。

この「聴く力」は、後のピアノ指導やカリンバ演奏にも息づいています。





30年以上続くピアノ教室で大切にしてきたこと


ピアノ教室での指導は、30年以上にわたって続いています。その間、多くの生徒が教室に通い、それぞれのペースで音楽と向き合ってきました。


ピアノを学ぶ目的は一人ひとり違います。コンクールや発表会を目指す生徒もいれば、趣味として長く楽しみたい生徒も。(大半が最初はこれ)

大切なのは、その人に合った音楽の道を見つけること。



基礎を丁寧に学ぶことは、どの段階でも欠かせません。姿勢、手の形、指の使い方、楽譜の読み方、リズム感。これらは地味に見えますが、音楽を自由に表現するための土台になります。


一方で、基礎だけを詰め込んでも音楽は楽しくなりません。曲の背景を知ること、響きを味わうこと、自分なりに表現を考えることも大切です。レッスンでは、技術と感性の両方を育てる視点が求められます。


最初は片手でゆっくり弾いていた子どもが、やがて豊かな表情で曲を奏でるようになる。仕事や家庭の合間に通う大人が、少しずつ好きな曲を弾けるようになる。数年かけて見えるそうした変化が見えることは、指導者にとってこの上ない大きな喜びとなります。



ピアノ教育は、単に演奏技術を教えるだけではありません。集中する力、継続する力、自分の音を聴く力も育てます。音楽を学ぶ時間は、人生の中で自分自身と向き合う時間にもなります。

教える私も生徒たちと一緒に成長を遂げての「今」がありますので、振り返れば30年前は未熟で稚拙だったと反省することだらけです。が、きっとここから数年後も、今の自分を振り返ってそう思うかもしれませんね(笑)。





演奏経験が指導に生きる理由


演奏活動と教育活動は、互いに支え合っています。舞台で得た経験は、レッスンの言葉に深みを与えていると感じます。反対に、生徒に説明することで、演奏するときの自分自身の考えも整理されます。



室内楽の経験は、特に指導の場で大きな力になります。



ピアノを学ぶ生徒は、どうしても自分の「音」だけに意識が向きがち。けれど、音楽は常に流れの中にあります。前の音が次の音へどうつながるのか。メロディと伴奏がどう関係しているのか。ほかの声部が何を語っているのか。


室内楽で培った感覚があると、そうした音の関係を具体的に伝えやすくなります。


演奏する人であり、教える人でもあること。

その両方を続けているからこそ、実感を伴った言葉で音楽を伝えることができます。





カリンバが広げた新しい音の世界


近年、カリンバの指導と演奏も始めました。カリンバとは、金属のキーを親指ではじいて音を出す楽器です。やわらかく澄んだ音色が特徴で、初めて触れる人にも親しみやすい魅力があります。


カリンバが繋ぐ音の輪
カリンバが繋ぐ音の輪


ピアノと比べると、カリンバはとても小さな楽器です。持ち運びがしやすく、場所を選ばず演奏できます。音量も穏やかで、身近な空間に自然になじみます。


カリンバの魅力は、そのシンプルさの中にあります。複雑な準備をしなくても、指先で音を鳴らすことができます。初めての人でも、短いメロディを奏でる喜びを感じやすい楽器です。


一方で、表現の奥行きもあります。音の余韻をどう生かすか、メロディをどう歌わせるか、和音をどのように響かせるか。

17音しかない小さな楽器だからこそ、一音一音への意識が大切になります。

(私がレッスンで使っているのが17音カリンバであり、カリンバという楽器はこの限りではありません)


ピアノ教育で培ってきた読譜力やリズム指導の経験は、カリンバ指導にも生きます。音の並びをわかりやすく伝えること、無理なく練習を進めること、演奏する楽しさを感じてもらうこと。その姿勢は、楽器が変わっても変わりません。


カリンバは、音楽をより身近に届けるための新しい扉になっています。





訪問コンサートで音楽をお届け


演奏会場に足を運べる人ばかりではありません。年齢や体調、生活環境によって、生の演奏に触れる機会が限られる人もいます。訪問コンサートは、そうした場所へ音楽を届ける活動です。


地域の施設、福祉の場、交流の場などで行う演奏には、ホールでのコンサートとは違う距離感があります。聴き手の表情が近くに見え、音楽への反応がすぐに伝わってきます。


選曲にも工夫が必要です。聴く人が親しみやすい曲、季節を感じられる曲、静かに耳を傾けられる曲。場の雰囲気に合わせて、ピアノやカリンバの響きを組み合わせることもあります。


訪問コンサートでは、完璧なプログラムを届けることだけが目的ではありません。その場にいる人が、やんわりと気持ちをほどき、懐かしい記憶を思い出し、音に包まれる時間を持てるように・・・その空間作りのお手伝いをしている感覚で奏でています。


音楽には、言葉を使わずに届く力があります。明るい曲に自然と手拍子が起こることもあれば、静かな曲にじっと耳を傾ける時間や、こっくりこっくり・・・の場面もあります。

実はすやすや気持ちよさそうに目をつむっていただけるのは、こちらとしてはある意味「成功」なのですよ♪笑


誰かの近くで音を鳴らすこと。

それは、舞台で拍手を受ける活動とは違う意味で、音楽家としての役割を強く感じる時間でもあります。





音楽活動は人とのつながりで深まっていく


室内楽、ピアノ教育、カリンバ指導、アウトリーチ、訪問コンサート。活動の形はそれぞれ異なりますが、根底には共通する思いがあります。


音楽を通して、人の心に触れることです。




室内楽では、共演者と丁寧に音を重ねます。ピアノ教室では、生徒一人ひとりの成長に寄り添います。カリンバでは、初めて音を鳴らす人にも開かれた楽しさを届けます。訪問コンサートでは、日常の中に生の音楽がそっと入り込みます。


長く続けてきた活動は、急に形づくられたものではありません。演奏の経験、指導の積み重ね、人との出会いが少しずつ重なり、今の音楽活動につながっています。


また、音楽は、特別な人だけのものではありません。舞台の上にも、教室の中にも、地域の小さな集まりにもあります。そこで鳴る一音が、誰かの記憶や気持ちに寄り添うことがあります。


これからも、室内楽で培った対話の力と、30年以上のピアノ教育で育ててきたまなざしを土台に、カリンバや訪問コンサートを通して音楽の場はさらに広がっていくことでしょう。


音楽を届ける歩みは、これからも人との出会いの中で続き、発展していくと信じて、動ける限り活動を続けていきます。


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